校長室から

ウェルビーイングって?(校長ブログ)

2022年9月29日 16時25分

夏休みの宿題をまだまだ引きずっていて校長ブログがサボり気味になっています。

ウェルビーイング(well-being)という言葉を聞いたことがありますか。

ここ数年、キーワードとして世界中で注目されている言葉です。
幸福な状態、充実した状態、満足して生活できている状態・・・。
個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念だそうです。

世界保健機関憲章(1946年採択、1948年発効)の中では次のように述べられています。
Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあることをいいます。
(日本WHO協会仮訳)

現代社会は、世界中がこのような社会をめざして動いているといえます。

先日は、「東北大学と富士通、ウェルビーイング社会の実現に向けて戦略提携」などのニュースもありました。
(参考:https://pr.fujitsu.com/jp/news/2022/09/26.html)

私たち一人ひとりが、自分らしく幸せに生きることを考え、そのためにはどのように生きていけばよいのかを考えてることがとても大切な気がします。

「幸せって何だっけ?何だっけ?」って歌がありましたが、自分が幸せを感じるのはどのようなときでしょうか。

私が子どもの頃は、きっと良い大学に入って、良い会社に入って、一生幸せみたいなイメージがまだまだ残っていた時代だった気がします。

現代社会は、多様性、変化の激しい、予想だにしない出来事が起きる社会です。

お金があれば幸せというのも、ちょっと違う気がします。必要最低限のお金は当然生きていく上ではとても必要なものですが。

精神的な幸せを考えるとどうかと思います。

最近心に刺さった詩があります。

「逆説の10か条」という詩をご存じでしょうか。

マザーテレサの本の中でも紹介されているようですが、作者はケント・M・キースさん。
ハワイ州の経済企画開発局局長や州政府の閣僚を歴任し、その後私立大学の学長やYMCAのリーダーを務めていたそうです。
そのケント氏がハーバード大学在学中の19歳のときに、高校の自治活動をしているリーダーたちのために書いたのがこの詩です。

<逆説の10カ条>ケント・M・キース

(1)人は不合理で、わからず屋で、わがままな存在だ。
  それでもなお、人を愛しなさい。

(2)何か良いことをすれば、隠された利己的な動機があるはずだと人に責められるだろう。
  それでもなお、良いことをしなさい。

(3)成功すれば、うその友達と本物の敵を得ることになる。
  それでもなお、成功しなさい。

(4)今日の善行は明日になれば忘れられてしまうだろう。
  それでもなお、良いことをしなさい。

(5)正直で素直なあり方はあなたを無防備にするだろう。
  それでもなお、正直で素直なあなたでいなさい。

(6)もっとも大きな考えをもったもっとも小さな男女は、もっとも小さな心をもった
  もっとも小さな男女によって撃ち落とされるかもしれない。
  それでもなお、大きな考えをもちなさい。

(7)人は弱者をひいきにはするが、勝者のあとにしかついていかない。
  それでもなお、弱者のために戦いなさい。

(8)何年もかけて築いたものが一夜にして崩れ去るかもしれない。
  それでもなお、築きあげなさい。

(9)人が本当に助けを必要としていても、実際に助けの手を差し伸べると
  攻撃されるかもしれない。
  それでもなお、人を助けなさい。

(10)世界のために最善を尽くしても、その見返りにひどい仕打ちを受けるかもしれない。
  それでもなお、世界のために最善をつくしなさい。

  (引用)ケント・M・キース 著 大内博訳


何だか勇気がわいてきます。人間は(私は?)弱いので、迷ったり、悩んだりしてしまいます。

そんなとき、ぶれずにこうしなさい!と言われると背筋がびしっと伸びる気がしました。

結局は、人からどう思われるとか全く関係なく、どんな行動をする自分が好きか、どんな考えをする自分をかっこいいと思うのか、自分の素直な気持ちを裏切っていないのか、そういった自分への自分の評価が全てだと思いました。

「人間は一生のうちあうべき人に必ずあえる。しかも、一瞬早すぎず、一瞬遅すぎないときに。」という言葉もあるように、この詩に出会えたことも、必然のような気がしました。

もっと気合い入れろよ!と言われているような気がして、身が引き締まりました。

駒込小学校長 鈴木 昭博