校長室から

たくさん失敗しましょう!という話(校長ブログ)

2022年5月23日 16時19分

「失敗」と聞くと、一見マイナスなイメージしかありませんが、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか。

私もこの年齢になっても日々たくさん失敗して、反省してはまた同じことを繰り返してしまう毎日です。

大人になると行動する前に頭で考えて、失敗しないように行動するようになることが多いと思います。また、そうなることが大人になるということかもしれません。

ただ、頭で考えて失敗しないように行動することも大切ですが、特に、子どもの頃は「たくさん失敗しましょう!」と私は言いたいです。失敗をするということは、何か行動をしている証拠です。チャレンジしていることかもしれません。世の中まわりを見渡しても、失敗をしない人なんて誰一人いないと思います。

失敗して、とっても情けない気持ちになったり、恥ずかしかったり、自己嫌悪に陥ったり、そんな経験が次のチャレンジの励みになります。そして、その失敗のひとつひとつが学びです。次は、失敗しないようにこういう準備をしようとか、こんなふうに行動してみよう、課題に対して新たな方策で挑むことができます。

人間関係においても「今日は、友達にこんなこと言ってしまって失敗したなぁ。」とかを繰り返し、そんな心の状況を体験から学び、勇気を持って「謝ってみよう!」などと、関係の修復の仕方も勉強していくものです。

よく大人は先回りして子供の失敗の機会を奪ってしまうことがあります。このことから子供の人間としての力を奪ってしまうことにつながってしまうと思います。なぜなら人間は誰でも失敗から学んできたからです(それでも失敗を繰り返すことも人間ですが・・・)。何でもかんでも大人が先回りして子供の学ぶ機会を奪ってしまっては、本当に経験値の少ないちょっとしたことでへこたれてしまう大人になってしまう可能性があります。「獅子はわが子を千尋の谷に落とす」ということわざまではいかないとしても、将来自立した大人になるためには成功体験だけでもダメですし、失敗だけでもダメです。バランスのよい体験活動がとっても重要だと思います。

人間の世界よりも常に厳しい状況にある野生動物の世界でも、子供が自立すべき時期がくると、母親が子に餌を与えず、または運ばないで自立を促す厳しい愛情行動に出るようです。これは、ライオンから小鳥まで例外がないようです。いつ親が食われるかわからない弱肉強食の世界で、子供が自分で狩りができなければ生きていけないと知っている野生動物の世界だからでもあります。

何事もバランスが大切だと思いますが、人間も同じ動物の仲間だと思えば、野生動物まではいかなくても、これからの未来を担う子供の自立に向けてしっかりと考えて子供たちの教育に取り組んでいきたいものです。   
   
「しっかり抱いて、そしてそっとおろして、歩かせる」この教育の原点を私自身がもう一度再確認していきたいと思います。

駒込小学校長 鈴木 昭博

※ 先日のPTA環境委員の皆様の作業でとっても
きれいになった三角花壇です!